日本の労働法制や雇用慣行からすると、いわゆる正社員の採用は、新卒であれば数十年働いていただくことを前提とした判断になる。ゆえに本来、採用計画や要員計画には中長期的視点が不可欠なわけだが、現実は必ずしもそうではない。
それが証拠に、名だたる大企業といえども、たいていの場合、毎年の新卒採用数は直近の業績や経済動向に大きく左右される。実際には毎年一定数採用するという企業よりも、直近の業況に応じて採用数が大きく増減する企業のほうが多い。
採用には当たり年とハズレ年があるという話もよく聞く。
ひとつは、採用力があまり強くない企業の場合、就職が厳しい年には、今まで応募してこなかった層の学生が採れるという類いの話だが、もうひとつは採用力云々ではなく「採用数が多い年=当たり年」という話だ。
採用数が少ない企業、もしくは例年に比べて採用数が少ない年は、採用の人選において冒険をしにくい。長所も光るが弱点も目立つ、という学生は採用しづらい。減点主義の人選になりやすくなる。ゆえに、無難だが、小粒になりやすい。
一方、採用数が多い企業や多い年は、面白い人材を混ぜやすくなる。ある種のリスクテイクが可能だ。
人事において、採用の確度を上げることはきわめて重要な課題であり、各種のアセスメントやBEIなどの面談手法、あるいはインターンシップ制など、さまざまな試みが行われている。
それはそれで非常に有用ではあるけれど、人材の将来を読み切れるわけではない。人は変わる。
その観点からすると、毎年5人ずつ採用するよりも、隔年で10人ずつ採用するほうがよいという考え方もなくはない。
0 件のコメント:
コメントを投稿