日本の労働法制や雇用慣行からすると、いわゆる正社員の採用は、新卒であれば数十年働いていただくことを前提とした判断になる。ゆえに本来、採用計画や要員計画には中長期的視点が不可欠なわけだが、現実は必ずしもそうではない。
それが証拠に、名だたる大企業といえども、たいていの場合、毎年の新卒採用数は直近の業績や経済動向に大きく左右される。実際には毎年一定数採用するという企業よりも、直近の業況に応じて採用数が大きく増減する企業のほうが多い。
採用には当たり年とハズレ年があるという話もよく聞く。
ひとつは、採用力があまり強くない企業の場合、就職が厳しい年には、今まで応募してこなかった層の学生が採れるという類いの話だが、もうひとつは採用力云々ではなく「採用数が多い年=当たり年」という話だ。
採用数が少ない企業、もしくは例年に比べて採用数が少ない年は、採用の人選において冒険をしにくい。長所も光るが弱点も目立つ、という学生は採用しづらい。減点主義の人選になりやすくなる。ゆえに、無難だが、小粒になりやすい。
一方、採用数が多い企業や多い年は、面白い人材を混ぜやすくなる。ある種のリスクテイクが可能だ。
人事において、採用の確度を上げることはきわめて重要な課題であり、各種のアセスメントやBEIなどの面談手法、あるいはインターンシップ制など、さまざまな試みが行われている。
それはそれで非常に有用ではあるけれど、人材の将来を読み切れるわけではない。人は変わる。
その観点からすると、毎年5人ずつ採用するよりも、隔年で10人ずつ採用するほうがよいという考え方もなくはない。
人材マネジメントに関するコンサルティングとITソリューションの会社「サイエンティアコンサルティング」の代表、藤井薫のブログです。 少しだけ仕事に関係する、日々の雑感を気楽に綴ります。
2011年9月25日日曜日
2011年9月22日木曜日
株主総会
今日は(株)サイエンティアコンサルティングの親会社である(株)サイエンティアの株主総会に出席。サイエンティアの取締役に選任された。今後は企画・開発・営業・導入の流れが、より一層スムースになる。
さて、それはそれとして、株主総会の思い出話!?をひとつ。
最初に就職した電機メーカーでの話。
株主総会は本社部門にとっては一大イベントなので、管理部門の若手は手伝いに駆り出される。むろん僕も例外ではなかった。いろいろな役割分担があったが、僕は体が大きいので入社後2−3年は「警備」担当だった。
警備係は会場の通路でのお立ち番だ。
入社一年目、最初の株主総会の時、総務部の顧問の方(元・新宿署のマル暴担当との噂だったが・・)からオリエンテーションを受けた。
「君たちは通路に立っていなさい。腕は後ろに組むこと。何があっても決して手を前に出さないこと。仮の話として、刃物をもった者が壇上に向かって突入してきたら、そのまま立ちふさがって体で止めること。」
「あのう・・体で止めるって?」
「文字通り、体で止めるんだ。君たちは絶対に手を出しちゃダメだ。」
「それって、刺されろ、っていうことですか!?」
まぁ実際にはそんな事態は一度も起こらなかったが、株主総会というと、そのときオリエンテーションをしたK氏を思い出してしまう。
ちなみにサイエンティアの株主総会は実に平和裏に終了。もちろん、お立ち番はいない。
2011年9月13日火曜日
社内報
学校を卒業して最初に就職した電機メーカーでは、企画管理部、というところに配属された。
企画管理部は経営企画と人事企画を主管し、社内報も同部で編集していた。
入社2年目に社内報担当になった。先輩女子社員と2人で企画、取材、執筆、レイアウト・・といった一連の仕事を担当していたのだが、最初はあまり好きな仕事ではなかった。
もともと僕はコーポレート部門志向ではなく、ビジネス部門に関心があった。
正直、「社内報かぁ・・」と思った。
僕の前任者は1年先輩のWさん、非常に個性的なユニークな人物だった。そのユニークさを語りはじめるときりがないので止めておくが、僕が社内報担当になって2ヶ月目くらいたった頃だったろうか、Wさんは僕に言った。
「藤井くん、君は社内報の企画よりも商品企画をやりたいみたいだけれど、社内報は経営の重要課題を取り上げて全社員に啓蒙する仕事なんだよ。一人ひとりのやる気が5%上がって、成果が5%上がれば、全社業績が5%上がるんだぞ」
「社員をケイモウ・・・・ですか・・・」
ほとんど歳も変わらないWさんの言葉は新鮮だった。
もう28年前になるあの時のことは今もはっきり覚えている。
今日、某社の社内報を見て、昔のことを思い出した。
もしかすると、あの時のあの言葉がなければ、今の僕もないのかもしれない。
2011年9月9日金曜日
やりがい
遣る甲斐がある。
やりがい、については、いろいろな定義があるだろう。
組織のリーダーとしては、事業に参画するメンバーのみなさんの日々の活動、その努力が、何がしか何かの役に立つ。自分の将来に対しても何らかの蓄積になる。
少なくとも、そう信じることができて、着実に前に向けて進んでいける状態にしたい。
本音では、着実に、ではなく、グイグイと、といきたい。
切に、そう思う。
それが自分の責任であり、やりがい、であると思う。
2011年9月7日水曜日
ストーリー
今日は、丸の内の某大手メーカーさんへ営業往訪。
われわれにとっては少々タイミングが悪く、昨年、某有名人事ソフトの導入を決めたばかりで、現在作業中とのこと。
まぁそれはそれとして、せっかくの機会なので今後の参考にということでSmartCompanyのデモを見ていただいた。
そしてデモの後、「このシステムには、人事はこうやればいいというストーリーがありますね。」というコメントを頂戴した。
デモを見ていただいたお客さまからは、しばしば同じコメントをいただく。
そう。われわれはそれを意識している。そして、それをテンプレートとして提供している。
サイエンティア「コンサルティング」と名乗っているとおり、われわれは狭義のITソリューションだけでは限界があると考えている。目指すところは、人材マネジメントそのものに対する識見をベースにしたHRソリューションだ。
まだ、やりたいこと、やらなくてはならないことがいろいろある。
今日もまたひとつ新たなテーマを思いついた。
2011年9月6日火曜日
実効性
社外サービスの導入可否は、どの会社も、多くの選択肢の中からかなり厳しい目線で比較検討して決めることが一般的になっている。
われわれはマネジメントコンサルティングとITソリューションを提供しているわけだが、これらのサービスも、導入効果やコストパフォーマンスについてお客さまの納得がいく根拠と、競合に対する優位性を示すことができなければ成約は覚束ない。
一方で、社内の管理部門が事業部門に提供するサービスについてはどうだろう?
たいていの場合、事業部門は複数の管理部門の中から最適なサービスを選択するというわけにはいかないので、管理部門が提供するサービスを使用せざるを得ない。
管理部門は、自らのサービスの導入効果などについて、社外サービスを導入するときのような内部検討をしっかりと行っているだろうか。
形式ではなく、実効性が重要だ。
2011年9月5日月曜日
クラウドならでは
たいていの場合、人事情報システムは全社で一つ。
全従業員を一つの人事情報システムで管理する、というのが普通のパターンだ。
われわれの主力商品、SmartCompany(旧Progress@Site)も、オンプレミス版は基本的にそういった使われ方をしている。
クラウド版においても全社で使うというのが依然中心ではあるが、最近の営業活動の中では、クラウド版ならではの特性を活かした、新しい使い方のニーズが顕在化してきている。
それは、まず管理職層だけを対象にSmartCompanyを導入するというものだ。
クラウド版は人数に応じた月額サービス料方式なので、全社一括ではなく、管理職層などに限定した部分導入にも対応しやすい。たとえば管理職100名であれば年額50万円程度のコストで利用できる。
オンプレミス方式ではミニマム費用だけでそれなりの金額になるので、なかなか気軽にトライアルというわけにもいかなかったが、クラウド版の登場で、それが十分可能になった。
現業職種中心でWebシステム導入はハードルが高い、と考えておられる皆様にも、ご一考の価値があると思っている。
2011年9月4日日曜日
クイックネス
小さい企業が大企業に伍して生き抜いていく必要条件。
いろいろありはするだろうけれど、少なくともスピード。
スポーツでもそうだろう。
たいていの場合、大きいことはメリットだが、たとえばバスケでもそれが全てというわけではない。
だが、小さい選手にはクイックネスが必要だ。それに加えてテクニック。
それがあればやっていける。
すべからく、対応が遅いのは致命的だ。
振り返って、われわれは企業としてのクイックネスを備えているか?
やるべきことは多い。
2011年9月1日木曜日
戦略マップ
わが社、サイエンティアコンサルティングは、人材マネジメントシステム「SmartCompanyスマートカンパニー」と社内SNS「SmartScrumスマートスクラム」のふたつのITソリューションを提供している。
今日は、そのシステム開発部門用の戦略マップを描いた。
「戦略マップ」というのはバランススコアカード(BSC)の手法のひとつで、経営戦略・事業戦略を従業員全員に分かりやすく伝達できる可視化ツールだ。戦略策定における頭の整理にも役立つ。
財務の視点→顧客の視点→業務プロセスの視点→組織と学習の視点、という流れでは「How to どうやるのか」という観点で整合性あるシナリオが描けていなければならない。
組織と学習の視点から財務の視点に向けての逆方向では「Why to なぜやるのか」という観点で整合性あるシナリオになっていなくてはならない。
コンサルタントとしての僕の専門分野はふたつあって、ひとつは人材マネジメント関連、もうひとつが戦略実行管理関連だ。その戦略実行管理の中核がバランススコアカードや目標管理で、コンサルタント時代に数多くの戦略マップや目標シートなどを見てきた。
正直なところ、それをきちんと実行できれば本当に成功するのか?と問われると。それは分からない。それが担保できるくらいなら何も苦労はない。いくら計画を詰めてみても、やってみなければ分からない、というという要素は多く残る。ゆえに、プロセス型の戦略対応が重要になるわけだ。
それはそれとして、戦略策定段階でこれではダメだ、というものはかなり正確に分かるように思う。
たとえば、戦略マップを描かせてみて、上から下へ、下から上へ、きちんとストーリーが繋がっていないようでは成功は覚束ない。
と、十分承知しているだけに、今回の戦略マップは僕なりに練り込んだ。
現物は、実際にわれわれの製品開発の戦略推進に使うものなので、悪しからず、非公開とさせていただくが。
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