2011年2月4日金曜日

老けて見える、の使い方

あと数日で僕の誕生日だ。51歳になる。
そういえば僕のコンサルティングの師匠、H師は、51歳で亡くなった。もう15年ほど前の話だ。自分があのときのH師と同じ年になったかと思うと、少し不思議な気がする。
H師は「老けて見える」人だった。H師が40代後半のときに出会ったのだが、その時すでに60歳前後といっても違和感がない風貌だった。(まぁ少々大げさだけれど、ウソというほどでもない・・)

H師と一緒に活動していた1990年代前半当時、人事コンサルティングのクライアントは、人事担当役員、人事部長などそれなりの年恰好の方々、事務局として若手が参加する場合も30過ぎの準管理職クラスの方というのが典型的人物像だった。コンサルタント側にも、それなりの年恰好、経験が期待されていた。昔ほどではないが、人事の世界は他の分野に比べて、今もまだそのような雰囲気が色濃く残っていることが多いように思う。
僕は30歳でコンサルティング業界に入った。僕も若い頃はどちらかというと「老けて見える」タイプだったと思うが、もちろんH師ほどではない。せいぜい実年齢より多少上に見えるという程度だ。コンサルタントに成りたての頃は、クライアントに自分の年齢や経験を尋ねられたくないなぁ、と思ったものだ。

ところが、このH師、クライアントに対して、かならず次のような話をするのである。
「私(H師)は老けて見えますけど、まだ40代後半です。ただ20代からコンサルティングをやっているので、もうキャリア20年以上です。こちらの藤井は、ちょうど30歳で、御社の若手の○○さんよりも若いです。まだ入社2ヶ月です。」
すると、クライアントが若干シニカル?!に、
「そうですか。新進気鋭のコンサルタントですね。」と返す。

H師の嫌がらせなのか?!とも思ったが、56社続けて、そのようなやり取りが続くと、さすがに僕のほうも慣れてきて、年齢だとか経験年数だとかはだんだんどうでもよくなってくる。入社して数ヶ月たった頃には、すっかり平気になっていた。
僕だったからよかったようなものの・・という気もするが、それも含めて、あれはH師一流のオリエンテーションだったんだろう、たぶん。

H師は、才人だったが奇人だった。むしろ、奇人だったが才人だった、というべきか。実にいろいろな話がある。とても1回や2回では語りきれない。おいおい紹介していくことになるだろうと思う。

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